北九州市立自然史・歴史博物館 いのちのたび博物館 KITAKYUSHU MUSEUM OF NATURAL HISTORY & HUMAN HISTORY

安川敬一郎日記(第3巻)

歴史系刊行物

『安川敬一郎日記』第三巻

 北九州市立自然史・歴史博物館では、麻生家・貝島家と並んで「筑豊御三家」と称された安川・松本家の総帥安川敬一郎(1849~1934)の日記を全5巻で翻刻・刊行する計画を進めています。第三巻は全499頁で、詳しい解題を付けています。

 第三巻は、1915(大正4)年1月1日から1921(大正10)年11月23日までの7年弱の分を収録しました。第二巻は1907(明治40)年11月4日で終わっていて、翌11月5日から1914(大正3)年12月31日までの7年以上の分を欠いています。この間、安川は明治・赤池・豊国の三炭鉱を統合して明治鉱業株式合資会社を設立し、明治紡績合資会社を設立して他業種にも本格進出、また、現在の九州工業大学の前身である私立明治専門学校を開校するなど、安川は若松から戸畑へ拠点を移し、地方企業家から「地方財閥」へと成長していきました。

 第三巻は、第一次世界大戦が起こった時期にあたります。安川は企業経営を子の松本健次郎・安川清三郎・安川第五郎に任せ、自身は1915年の第12回総選挙に立候補するも落選、1917年の第13回総選挙では中野正剛を支援するなど、積極的な政治活動を行いました。特に、日中関係が悪化する中で、安川は漢冶萍公司など中国企業との合弁事業に力を注ぐとともに、普通選挙や労働・教育問題など第一次世界大戦前後の諸問題について、積極的に発言・活動しました。また、福岡市政にも影響力を有していたことも確認されます。そのほか、安川の美術品鑑賞と収集に関する記事も少なくなく、近代美術史資料としても興味深いものです。明治時代の日記と同様、あるいはそれ以上に、大正時代の日記も質量ともに内容豊富であり、北九州・福岡はもちろん、全国的にも東アジアレベルでも、また、経済・政治・教育・文化など多方面にわたって有用な近代資料と言えるでしょう。

 北九州市立自然史・歴史博物館のミュージアムショップで購入できます。価格は4,000円。実費負担で郵送も行っています。詳しくは北九州市立自然史・歴史博物館(093-681-1011)まで。